どうも。あまりの酷い態度に空いた口が塞がらない。お米です。
2021年5月19日、TBSラジオの「荻上チキ・session」を聴いていて、ショックを受けました。
この日の特集は「名古屋入管でのスリランカ人女性死亡問題。遺族は何を求め、どんな検証が必要になるのか」でした。
あまりの酷いやり取りに、びっくりしてしまいました。
これは記録として残しておかねばいけないのでは?
わざわざ私がやる必要があるのかはわかりませんが、アウトプットの数は多いほうがいいとも思うので、これについて書いてみます。
スリランカ人女性死亡問題
まず、これがどういう問題なのかを書いてみます。
今年3月に、名古屋出入国在留管理局に収容中のスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(33歳)が亡くなりました。
同居していた男性からのDV(ドメスティックバイオレンス)から逃れる為警察に相談しに行ったが、在留資格を失っていたため保護されず、不法滞在容疑で現行犯逮捕。その後、名古屋入管に収容されスリランカへ帰ることを希望していたが、同居男性から「殺すために(スリランカで)待っている」と手紙で脅され、帰国を断念。その頃から入管職員からの高圧的態度、嫌がらせが始まり、1月下旬から体調不良を訴えていたが医師からの治療は入管が拒否したため受けられず、3月に亡くなった。2カ月経った現在でも死亡原因は「調査中」となっている。
この日の放送
ジャーナリストの安田浩一さんと、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんがゲストとして登場したこの日の放送。
亡くなったウィシュマさんのご遺族が来日、コロナ対策としての2週間の隔離を経て、葬儀が終わった次の日に、弁護士、通訳、国会議員と共に名古屋入管へ行き、ビデオを見せて欲しい、暮らした部屋を見せて欲しいという旨を申し合わせに行った時の様子を録音したものが流れました。
流れた音声の文字起こし
今回流れた音声は、放送用に編集されたものです。聞き取りづらい部分やわからない単語等あり、完璧とはいえませんが、入管とのやり取りの部分のみ、聞き取れる限り起こしてみます。
入管職員と弁護士の録音についてのやり取り
まずはじめに、録音出来ると思って行ったが、入管職員(恐らく局長)に拒否された時のやり取りが流れました。
職員「録音、録画はご遠慮いただきたくどうぞその点、よろしくお願いいたします。」
弁護士「いや事前にそれ聞いていないですよ。だって、局長が正式にあのお会いになるんですから、別に不用意な発言もないでしょうし、なぜ録音出来ないのか、理解出来ないですし、録音させてもらいたいと思います。」
職員「録音をお控えいただきたい。」
弁護士「理由を教えてください。」
職員「理由は、庁舎の管理上の問題でございます。」
弁護士「どういう理由ですか?」
職員「庁舎の管理上の問題でございます。」
弁護士「管理上の問題の中身を教えてください。」
職員「庁舎の管理上の問題でございます。」
弁護士「わからないよそれじゃ!どういう態度なんだよ!ここで人を死なせておいて何言ってるんだよ!」
職員「録音についてもお控えいただきたいと思います。」
弁護士「だから理由を教えてくださいよ。」
職員「庁舎の管理上の問題でございます。」
弁護士「具体的に教えてくださいよ。具体的にどういう問題が生じるかを言えば、それを聞いたら納得できるかもしれない。でもね、事前にね、それ言われてたら、こっちも検討した上で、それでも会うのか、そういうことだったら会えないと検討できたんだけど、事前にもお話無かったから。」
職員「是非、ご理解いただけたら。」
弁護士「理解は出来ません。本省から言われてるんですか?録音取らせるなって。ならそう言ってくださいよ。そしたら本省に電話して、交渉しますからこれから。」
職員「あのーすいません。こちらとしては、録画録音全て含めてご遠慮いただきたいということで考えてましたし、その旨伝わっていたと思っておったんですけど、先生方がそれだけ強い希望を持たれているということであれば、私としても考え方を変えてですね、録音のほうはお認めするということで進めたいと思います。」
弁護士「ありがとうございます。」
始まりから揉めております。この弁護士がちゃんと言ったからこそ認められたが、他の方だったら言いくるめられていたのでは?というリスナーのメールが来て放送で紹介されていました。
佐野豪俊局長の遺族に対しての「お悔やみ」
次に佐野豪俊局長の「お悔やみ」の言葉が流れました。
佐野局長「どうも。おはようございます。局長の佐野でございます。よろしくお願いいたします。冒頭私のほうから何点かお話したいと思います。まず、今回ウィシュマさんがお亡くなりになった点については、私局長として、大変重く受け止めております。お悔やみ申し上げます。その上でですね、あのーご遺族の皆さまにおかれましては、皆様シンパンとか疑問とか色々とお持ちのことと思います。他方で、私どもですね、今、まさに、事実関係ないし私どもの名古屋出入国在留管理局の対応コウシンないし対応が適切であったか既設性も含めまして現在、本庁庁域で調査を進められておりまして、私共は調査を受けている身でございます。したがって、あのその調査が済んでいない段階でですね、私のほうから、確定していないですね、不正確な情報に基づいて色々とご説明するのは、私共の本意ではない。このように思っております。したがって、私共誠実に本日は対応していきたいと思っておりますが、皆様がお知りになりたいことについてはですね、ご説明できることから限られてくる、ということについては、あのー皆様方のご理解を賜りたいと思います。」
「お悔やみ」の後に、「説明出来ません」と最初から言ってます。法務大臣も同じようなことを言っていたらしいんですが、同じように謝罪の言葉は無かったそうです。理由は「調査中」だから。
遺族から名古屋入管への疑問と要求
遺族から通訳を通して、疑問と要求がぶつけられました。
「亡くなって2カ月以上かかっているのにまだ調査終わってないんですか。お金ない国だから、こういう対応するんですか。助けれたのになんで助けなかった。」
「真相わからないまま国には帰らない。帰るとこない。ちゃんと調査結果がわからないと帰るところない。」
「入管に収容されてから病院連れて行ったり病院で治療したり、なぜしなかった。それは出来たのにしなかったのか。」
「あと、入管に対して、映像出して欲しい。なんで見せないの。私たちの家族だからみんなに見せなくても私たちには見せてください。入管がやましいことなかったらなんでみせないの。」
遺族の言葉を通訳した言葉、聞き取れるかぎり書いてみました。時に涙ながらの訴えです。心が詰まります。
佐野局長が質問について答える場面
局長「私どもは、最終報告書ないし中間報告書についてもですね、その報告書を不正している立場ではなくて、調査を受けている身でございます。」
通訳「なんでそんな時間かかっているんですか」
局長「すいません、そこの点については、私のほうからお答えわけにはまいりません。私自分で作っているわけではないので。」
局長「それで私どもは先ほどお話しました通り、えーあの調査を受けている身でございますので、まだ調査の内容について事実関係がどうであったとか、名古屋出入国在留管理局のですね、ウィシュマさんに対する対応が適切であったかどうかということについては、今まさに調査が進められているというふうに私ども承知しております。したがって、先ほど申し上げました通り、まだ私どものほうでは事実関係についても対応コウシンについても、どういうことであったのかというふうにまだ皆様にお示しする材料が無いという状態でございます。とういうことでですね、あの本日、その、私どもの、まぁ、全然情報が無いというわけではないですけども、正直なところまだ、これが正しいというふうに確定もしていないし、そういった不正確なその不正確な段階で、私どものほうから色々とご説明するのは差し控えたい、というふうに思っております。」
局長「何度も申し上げている通り、調査されている身でございますので、あの、私その調査されている身で申し上げられるのは、あの今お話しした通り、あのー出入国在留管理庁本庁とも相談しながら、本日の結果をお伝えしているということでございます。」
局長「わからないということでなくお答えできないということです。私ども調査を受けている身ですし、報告書については私どもが作成しているわけではないので、それに関連することについては私のほうからお答えできないということでございます。」
当事者として知っていることを聞いているのに、「調査中」を理由に答えない、と繰り返し言っています。
遺族の要求「映像の開示」について
映像の開示について、佐野局長は拒絶。それについて、弁護士、国会議員が応答する場面です。
局長「それからビデオ映像についてですが、皆様の思い、しっかりと受け止めてですね、あの検討してまいりました。しかしながら、やはり保安上の観点からビデオを開示するお示しすることは出来ないと結論に達しております。」
弁護士「あの質問ですが、調査を受けている身であることと、被害者、遺族からの、要求に答えないことにどういう論理的関係があるんですか。検死事件でもなんでも、あの、例えば、その、警察の捜査を受けている。そのことが、被害者と示談交渉したり、示談交渉の前提として被害者に謝罪したり、事情を説明したりすることは何ら矛盾が無くて、あなたたちが本省から調査を受けているかどうかなんて、私は知らないですよ。関係ないですよ。被害者がここに現実に求めている、別に不確かな情報を説明しろなんて言ってません。確かな情報を説明すればいいじゃない。確かな情報である、そのぉ、ビデオを開示すればいいじゃないですか。本省に止められているというなら、そういう風におっしゃってください。そうですか。」
局長「あの、先ほどから申し上げております通りですね、ビデオについては保安上の理由からお示しするわけにはいかない。それからそれ以外のことについては、今私ども調査を受けていて、事実関係その他についてもまだ確定していると、いう段階に至っていないのでその段階でお話すわけには、ご説明するわけにはいかない、ということでございます。」
弁護士「いいですか。入管の内部について、私たち、弁護士会で申し入れればいつも見せてくれるじゃないですか。私は名古屋入管行ったことないけど、牛久とか、あのー、東京入管行ってます。単独室も含めて、見せてもらってますよ。国会議員の先生方だって、視察で行けば、あるいは事件が起こった直後に行って見てますよ。あといろんな裁判で、単独室も含めて、ビデオはいっぱい公開されてますよ。今さら何の、保安上の理由があるのか、ご説明ください。」
局長「保安上の理由としか本日は申し上げられません。」
弁護士「さっきも同じこと言ってましたよね。録音の件で、保安上の理由というふうにおっしゃって、抽象的じゃないか具体的に説明してくれと言ったら、考えを変えて、録音させてくれたじゃないですか。」
局長「考えを変えたということではなくて…」
弁護士「いやさっきそう言ってましたよ。」
局長「考えを変えたということではなくてですね、色々とお話を伺った結果として、えと本日先ほどまでの話を変えてというふうに申し上げました。」
弁護士「はい。であれば…」
局長「もし突然ですね、自分の思いつきで考えを変えたということではございません。」
弁護士「そんなことは言ってない。ちゃんとこちらの言ったことを聞き入れてくれたから、私はありがとうございましたと言いました。同じように、局長がおっしゃってる、保安上の理由は抽象的で具体性が全くありません。今私が言ったように、そんなものが保安上の理由になるわけないです。今までだって見せてるじゃないですか。そういう風に言われて、それでも考えを変えるつもりはありませんか。」
局長「ありません。」
国会議員「なぜ見せられないんですか。」
局長「保安上の理由でございます。」
国会議員「国会議員にも見せられないんですか。」
局長「はい。」
国会議員「なぜ。」
局長「あの、保安上の理由でございます。」
弁護士「国政調査権よりも、保安上の理由のほうが大きいということですね。」
局長「あのそこの部分については保安上の理由が大きいということでございます。」
国政調査権を上回る??
国政調査権とは?

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日本国憲法第62条「両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」とされてる部分がそれにあたるそうです。
佐野局長の権限は憲法より上、だと?
Wikipediaはこちら。
まとめ
長くなりましたが、起こしてみました。
会話部分だけ文字起こししましたが、荻上チキさん、南部広美さん、安田浩一さん、安田菜津紀さんのお話込みで、是非この日の放送を聴いていただけたらと思います。
入管は外国人を「犯罪者」として認識しているからこういう態度が取れるのでは?と放送内でも言っていました。
これから外国人を迎えて国際的なスポーツイベントを開こうとしている国なのか?と疑問を持たずにはいられません。
ということで。
ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました!
では!
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