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はじめに
どうも。お米です。
菅義偉氏が内閣総理大臣の座を退きました。
この方がコロナ禍真っ只中に首相としてトップにいたことは、今後正当に評価されるべきです。
ちなみに私は評価していません。
今回は、最後の記者会見後に質問できなかったメディアが文書で質問したものに対しての回答を読み込んでいきます。
相変わらず酷いです。
記者会見終了後の文書による質問と回答

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2021年9月28日に行われた記者会見で質問できなかったメディアによる、書面をつかった質問と、それに対する回答が首相官邸のHPに載っています。
そもそも記者会見で質問出来ないメディアがあること自体、メディア軽視であり、ひいては国民軽視であると私は考えます。国のトップがそういう姿勢なのは非常に良くないし、そういう人がトップである(トップであった)ことに国民として危機感を持つべきだとも思っています。
では、読み込んでみます。
本人曰く「闘いに明け暮れた日々」
中国新聞さんの質問です。
『会見で「闘いに明け暮れた日々だった」と振り返りました。~中略~ 無責任だという声があることに対し、総理はどう思われますか。』
これに対して菅義偉氏は、『無責任との指摘は当たらないものと考えています』と答えています。
自身の評価と国民の評価が違う場合、重視すべきは国民の評価です。「自分としては無責任ではない」というのは、単なる自己満足です。
「謙虚に受け止めます」と言えないあたりが菅氏の限界でしょう。
沖縄の民意を無視してきた政権
琉球新報さんの質問です。
『米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に関しては、沖縄県知事が反対するほか、2019年の県民投票の結果を見ても、根強い反対の民意があります。しかし、菅総理は「県民に寄り添う」「沖縄県民の理解を得ていく」とおっしゃりながら、名護市辺野古の新基地建設をこれまで強行してきました。退任を前に、県民の民意を無視する形で移設工事を進めてきたことに対して、どのように思われ、お考えでしょうか。』
これに対して菅首相は、『政府としては、様々な機会を捉えて、沖縄県の考えを伺いながら、平成25年に当時の県知事から埋立承認を頂き、自然環境や住民生活にも最大限配慮して、工事を進めてきたところであり、普天間飛行場の全面返還に向けた道筋を付けることができたと考えています』と答えています。民意を無視していることを正当化しています。
確かに平成25年(2013年)当時の県知事は埋立承認したかもしれませんが、住民投票が行われたのは2019年2月。県知事の承認よりも新しい時期に出された民意を無視したことになります。
その前になりますが、2018年に行われた沖縄県知事選挙で当選した現職の玉城デニー氏は、選挙戦で辺野古移設反対を掲げて当選しました。こちらの選挙で示された民意も無視されたことになります。
当たり前のこと言いますが、沖縄県は日本です。日本国民の民意が選挙と県民投票で示されているのに無視し続けている。これは、普通に考えれば民主主義の危機です。
普天間飛行場の返還は行われるべきですが、だからといって辺野古に基地を置くべきではありません。辺野古は選択肢のひとつなはずです。にもかかわらず「辺野古が唯一の解決策」と言い続けているのは、「何かある」と考えるべきです。
そして、その判断をし続けているのが自民党であることはきっちり覚えておくべきです。
菅義偉氏が『引き続き、沖縄のために全力を尽くしてまいります』と言っているのは、今後も民意を全力で無視していきますと言っているようなものです。恐いです。
日本学術会議会員任命拒否問題
京都新聞さんの質問です。
『学術会議側から推薦された候補6人は、なぜ任命が見送られたのでしょうか。総理がおっしゃってきた「総合的・俯瞰(ふかん)的観点」では理由やプロセスがよく分からず、アカデミズムからの根強い不信感は残念ながら拭い去れていません。』
これに対して菅首相は、『日本学術会議法に沿って、学術会議に求められる役割等も踏まえて、任命権者として判断を行ったものであり、そのことは繰り返し説明してまいりました』と答えています。
ただ気になるのは、そのすぐ後に『憲法第15条第1項は』と憲法を持ち出していて、日本学術会議法だけでは説明しきれないと判断したんでしょう。過去の国会答弁ではそのまま任命すると答弁されているため、そことの整合性を違ったもの持ち出して正当化する目的なんでしょう。
自身が何をやりたいか、それに使えるものはないか、という、実際は法を前提に行うべき運用を結論ありきで捻じ曲げてまで任命したくなかった理由はなんなんだろう?今後裁判とかになって示されることになるのかもしれませんが、今後も注目していきたいと思います。
記者会見で質問できる社に偏りがある
時事通信さんの質問です。
『なぜ、質問できる社に偏りがあるのか。質問者は誰が、どうやって決めているのか。その判断に菅総理も関与してきたのか。全社が偏りなく質問できるように、例えば事前にくじ引きやさいころで決める、または五十音順にするなど公平な仕組みが必要ではないか。』
これに対して菅首相は、『記者会見における質問者については、冒頭に幹事社から2問をお受けする以外は、内閣広報官が、内閣記者会とフリーランス等のバランスなどを勘案して指名しているものと承知しています』と答えています。自身に責任はない、ということを言いたいのでしょう。
では、内閣広報官が偏りある選別をしていることになるわけです。そして、内閣広報官の指名は首相の判断が当然介在しているわけで、ということは各社に質問出来るかどうか偏りがあるのは首相の責任です。
ごまかさないでください。
安倍政権の負の遺産
東京新聞さんの質問です。
『安倍政権の「負の遺産」になぜ向き合わなかったのでしょうか。政治不信を増大させた責任は感じていますか。』ストレートですね。
これに対して菅首相は、『御指摘のような事案について、国民の信頼を大きく損なったとの批判があることは、重く受け止めており、国会等において必要な説明をしてまいりましたが、いずれにせよ、政治家は、国民の皆様から厳しい目が向けられていることをしっかりと認識し、自ら襟を正し、政治活動を行っていくべきだと考えています』と答えています。
結果何も言ってないですね。
安倍政権の負の遺産ではありますが、菅義偉氏は官房長官として中の人だったわけで、まさにその問題を負の遺産化した人間なので、答えることは自身の責任に直結するため逃げたと考えるのが自然かと思います。
悔いはありません
北海道新聞さんの質問です。
『森友学園問題の文書改ざんや日本学術会議の委員任命拒否などで、行政にひずみが出ている、強権的で異論に耳を貸さない体質があるとの指摘がありました。こういった批判に今、どうお答えになりますか。また総理は菅政権とはどのような政権だったと総括されますか。さらに、NHKの質問の中で自民党総裁選に向けた誤算に関する質問への回答がありませんでした。この回答も含め、お伺いします。』
会見で菅氏が答えなかった部分について、文書で更問いしています。
これに対して菅首相は、『国民の命と暮らしを守ることを最優先に、新型コロナ対策に明け暮れた1年でした』と総括。その他にもさまざまな政策に対処してきたとして、『持てる力を全てつぎ込んで働いてきたつもりです。やり残したことも、もちろんありますが、国民の安心を取り戻すため、日本の未来のため、できるだけのことはやりました。誤算などなく、悔いはありません』と答えました。
質問では「自民党総裁選に向けた誤算」を聞いたのに対し、回答では「誤算などなく、悔いはありません」と、自民党総裁選とは絡めない形で誤魔化しました。答えたようで答えていません。
最後まで相変わらずでした。
まとめ

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これにて、菅義偉氏が内閣総理大臣だった時の記者会見は終わったわけですが、最後まで安倍政権の負の部分を踏襲したような政権でした。むしろトップが口下手なことで負の部分がより顕著になった気さえします。
コロナ禍という指標により同時期の他国と比べることが出来、統治機能の大事さを痛感した、というのが、菅政権の始まりから終わりまで日本で暮らした私の感想です。
次の内閣総理大臣は岸田文雄氏に決まったわけですが、自民党の中から候補者が出たとしても、安倍政権で負の遺産を作った張本人の支配から逃れられなければ、この国は変わることが出来ないのではないかと思います。
Bにしても悪い!と思っても、今のAを終わらせなければ、少なくとも今の状況を変えることは出来ない。
ということで終わります。
ではまた。
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