リンク

【菅首相記者会見】緊急事態宣言発出拡大するってよ話2(質疑応答を読み込む)

なんとなく時事話
Photo by Timo Volz on Unsplash

Photo by Timo Volz on Unsplash

はじめに

どうも。お米です。

前回に続き、記者会見を読み込んでいきます。

記者会見冒頭部分の『明かりははっきりと見え始めています』という発言について、多くの方がツッコミを入れています。この後の質疑応答部分でも突っ込まれていました。

そりゃそうですね。違う地平の話、もしくはパラレルワールドの話かと思ってしまいます。

ということで、今回は質疑応答部分を読み込んでいきます。

リンク

記者会見(質疑応答)

https://pixabay.com/users/goranmx-168090/

2021年8月25日水曜日に記者会見が行われました。

今回も首相官邸に会見全文文字起こしされています。

相変わらず抽選で選ばれたのに質問出来ない人が出てしまうのは残念です。

記者は国民の代弁者なので、質問出来ない人が出てしまうというのは、国民の一部は放っておきます、というメッセージになります。

では、読み込んでいきます。

緊急事態宣言期限9月12日の理由

北海道新聞さんの質問です。大きく分けて3つ。

1.自身の政治責任
2.宣言解除が12日の理由
3.人出抑制策の必要性

それに対して菅首相は、

1.しっかり受け止めて真摯に対応していきたい
2.医療体制の確保、感染防止、ワクチン接種を柱とする対策を進めるために必要な期間
3.出口戦略として、医療体制の確保、ワクチン接種の推進(人流抑制策については明言せず

自身の責任について「真摯に受け止める」って、何か言ってるようで何も言ってないです。この辺りは前任の人から受け継いだ悪しき伝統、みたいなところはあります。

人流抑止策についてこれといったことが出てこないのが疑問だし問題なんですが、気になるのは「なぜ緊急事態宣言の終わりが9月12日なのか」というところです。

医療体制の確保はやる気の問題と言えそうですが、ワクチン接種は別に今もやっているし、12日までにどこまで接種が進むかを明言していないのでそもそも理由とするのは弱い気がする。

となると?ということで出てくるのが、自民党総裁選や総選挙に関わる、いわゆる「政治日程」(自分たちの都合)です。

当初は緊急事態宣言下での総裁選は当初「コロナ対策を最優先」と言っていましたが、最近は「法律上出来る」と言い始めています。

緊急事態宣言解除の基準を変更するという話も聞こえてきていますので、何とかして宣言解除して総裁選、そして衆議院解散を考えているのでは?

というかそれ以外の理由で12日の宣言解除の理由が見当たらないんですよね。

もしそうなら本当に酷い話です。

今後の政治日程

産経新聞さんの質問です。

自民党総裁選挙の日程臨時国会の召集総選挙の日程について聞いています。

それについて菅首相は、『あくまでも新型コロナ対策を最優先する』ということです。

ここまでの菅政権のコロナ対策への自身の評価

ビデオニュースさんの質問です。

ここまでの菅政権のコロナ対策というのは本当にうまくいっていると、つまり、最優先課題であるところのコロナ対策がきちんと機能しているとお考えなのか。だとすると、何を根拠に今の日本のコロナ対策は機能しているとお考えなのか。

非常に良いこと聞いているなぁ。

これに対して菅首相は、『私自身、このワクチン接種には全力で取り組んできて、そこは良かったというふうに思っています。』と良い部分をワクチン接種を進めたこと、と言っています。

菅首相は次の総裁選に出る意向を示していますが、今のCOVID-19対策がうまくいっているという自己評価だからこその出馬意向なんだと思います。これだけ感染拡大しているのにどこをどう見たらうまくやっていると考えられるのか。現実が見えてないからこその自己評価の高さとしか思えません。

そして気になるのは、海外よりもワクチン接種開始が遅れたことを『国内治験のせい』と言っています。これはどうなんだろうか。

こちらの記事に色々書かれています。

国内治験のせい』だけじゃない、ということです。そこだけに目を向けさせるのは責任転嫁ですし、そういう前例踏襲を超えた決定が出来るのが政治家なので、それが出来なかったのだとすれば実力不足です。

そもそもコロナ禍当初の与党政治家の発言から考えるに「コロナはただの風邪」という楽観的考えが、様々な意思決定の遅れを産んでしまったように思います。

そして、『菅政権のコロナ対策はうまくいっているという認識なのか』を改めて問うています。

それに対して、『他の国と比較して、死者の数とかそうしたことを比べてみると、明らかになってくるのじゃないか』と。

他の国をどこに設定するかで違ってきます。人口比で考えれば、日本がうまくいっている、とはお世辞にも言えません。今の感染状況と医療崩壊から考えれば、さらに増えることは確実です。

ワクチン3回目接種について

日本経済新聞さんの質問です。

3回目の接種について、これはいつから、どのような順番で進めるお考えでしょうか。

これに対して菅首相は、『ブレークスルーという感染』について認識しているようです。それを認識しているのに『ワクチン接種によってかつての日常を取り戻せる』とか『明かりははっきりと見え始めています』とよく言えるな

来年3回目を打てる、ファイザーを始め、このワクチンは全て確保していますので、そこは3回目をいつからやるとか、そうしたことが正式に決まればできるような体制は整えています。』と答えていますが、ブレイクスルー感染を考えれば、ワクチン接種にどの程度意味があるのか、私はよくわからなくなってきました。重症化が防げる可能性が高まるという点においては、接種することへの意味は見出せますが。

テレワークについて

TBSさんの質問です。

政府は、テレワークを推奨することによって出勤者の7割の減少というのを今、目指しています。その場合、やはり政府のテレワークに対しての取組というのもかなり注目されると思います。~中略~例えば菅総理自らがテレワークを行う、あるいは閣内のかなりの部分をテレワークというのを試みる、そういったお考えはございますか。

これに対して菅首相は、『私自身もそういう意味で、進められるときは進めていきたい』と答えています。

今、記者会見は抽選制となっていて、会見場に入る人数が制限されています。勿論コロナ禍で密になることを防ぐ為ですが、これをテレビ会議のように画面を用意すれば、抽選制にする必要なく今よりも多くの記者に質問の機会を与えることが可能になると思います。

記者クラブにその発想がない可能性はありますので、是非菅首相からそういった機会を与えることを働きかけるのがいいのではないかと思います。

記者、そして国民への向き合い方を変えた、として支持率上がるかも。少なくとも私はその決定は支持します。

協力を得られにくくなっている

文化放送さんの質問です。

感染のピークが見通せない中、総理はロックダウンの効果は限定的だとお考えのようですけれども、緊急時限的措置としてもう一段踏み込むお考えはありますでしょうか。

これに対して菅首相は、『ワクチン接種』と『抗体カクテル療法』について言及しました。

それより分科会の尾身茂会長の提言のほうが具体的でした。

人々の協力を得られにくくなっているということは、これは現実として私は受け止めたほうがいいと思います』と、政府のメッセージが届きにくくなっていることを前提にしつつ、それでも納得してもらえるように対策を具体的に示すべきとして、学校の再開に伴い懸念される感染拡大についての対策として、

1.ワクチンを保育所や幼稚園の先生にも打ってもらう
2.既存の健康観察アプリの活用
3.抗原検査の徹底
4.オンライン授業の活用

こういうことを進めつつ、『人々の協力、納得感ですよね。得ることが重要』との考えを示しています。

正直この具体的な対策として出されたものは、なんなら半年以上前に議題に上ってもいいような内容だし、もう叶えられていてもいいような内容ではありますが、「ワクチンだ」や「抗体カクテル療法だ」と同じような内容を繰り返し言ってないで、菅首相が言えばいいような内容ではあります。

難民の受け入れ

ジャパンタイムズさんの質問です。

タリバンはアフガニスタン人の国外退避を認めない考えを示していますが、今後の状況次第では、アフガニスタンからの難民の方々を日本に受け入れるという考えはあるのでしょうか。

これに対して菅首相は、『出国を希望する邦人や現地職員など安全な退路の実現を最優先』そして『関係国ともしっかり連携した上で』ということで、難民の受け入れの可能性については明言を避けました。

自民党の支持母体である団体は、外国人が日本に定住すること、そして日本にいる外国人を極端に嫌っていますので、当然こういう答え方になるだろうなと思います。それでも労働力が欲しいと言って外国人を一時的に受け入れる、私的には現代の奴隷制度ともいうような「技能実習生制度」を作ったわけで、名古屋入管でのウィシュマさんの死亡と合わせて「日本の人権意識の低さ」を表すような答え方です。

緊急小口資金

テレビ東京さんの質問です。

個人向けの定額給付金の再支給を求める声も出始めています。改めて、総理、この個人向けの定額給付金の再支給について、現状、どういうふうにお考えでしょうか。

これに対して菅首相は、『国民の皆さんの雇用や暮らしを守るために、雇用調整助成金の特例によって人件費を支援し、手元資金にお困りの方については最大140万円の緊急小口資金を御利用いただいております』と答えています。

質問では個人向けの定額給付金の再支給について聞いているんですが、これには答えませんでした。

雇用調整助成金は企業向けですので、個人で生活が苦しい方には緊急小口資金の利用を促したことになります。

厚生労働省によると緊急小口資金は、生活が苦しくなった個人が保証人不要・無利子で借りられる制度で、最大20万円を一度だけ借りられるということですが、会見では『最大140万円』と言ってますが、これは20万円なのか140万円なのかどっち?

足りなくないですかね?厚生労働省も20万円を「少額」と言ってます。

政府はやや楽観的

西日本新聞さんの質問です。

分科会の専門家が見据える出口と、政府が見据えている想定はずれがあるのではないでしょうか。総理は政府にとって不都合なデータや、厳しい意見にも耳をこれまで傾けてこられたのでしょうか。

これに対して菅首相は、『政府の考え方を分科会の中で説明して了解を得た』と答えています。

この質問は、この記者会見が行われた25日、その午前中に行われた衆院厚生労働委員会の閉会中審査での尾身茂分科会会長の発言に由来します。

ここで尾身会長は「私ども専門家の分析よりは、やや楽観的な分析をされたのではないのか」と、分科会の提言と政府の対応の乖離について不満を口にしました。

出口の明かりが見えている人(菅首相)と見えていない人(国民)の差は、こういう現状認識の違いから生まれているのだろうと思います。

現状認識が国民と乖離しているから支持率低いんですけど、わかってますかね?

大川興業総裁の質問

フリーランスの大川興業総裁、大川豊さんの質問です。

ちなみに大川興業とは、日本のお笑い・演劇グループ及び芸能事務所(Wikipediaより)。昔は芸人の江頭2:50さんが在籍していた芸能事務所で、以前は大川総裁もよくテレビに出ていました。

その大川興業の総裁(代表)の質問が、自身の知的障害者施設でのお手伝いを通しての経験をもとにした、非常に良い質問でした。かなり具体的な問題を提起する部分もあり、『オリパラ選手村等をコロナ専門野戦病院等にして』など、今回の会見で最も良いと思った質問、是非全文読んでいただきたいです。

質問に対して菅首相は、『もう一度、ここは私、調べさせていただいて、また状況を改善していきたい』と答えました。

ロックダウンについて

京都新聞さんの質問です。

以前、日本にはロックダウンはなじまないというふうにおっしゃっていましたけれども、民主的な国家で言いますと、オーストラリアなどは厳しい規制を講じていって感染者を抑え込んでいます。日本は今までそうした強い対策を打ったことがない中で、総理は何を根拠になじまないというふうにおっしゃっていたのでしょうか。

これに対して菅首相は『日本になじまないと申し上げたのは、やはり憲法上の問題、そうしたものをクリアしなければなかなか難しい問題だというふうに思っています』と、憲法のせいにしました。

「なじまない」と「憲法上の問題」は普通に考えれば全く違った理由です。

これは質問でも言及されていた『補償のお金を出したくない』と理由なのではないかと思ってしまいます。または、過去の判断間違いを認めたくない、とか。

いずれにしても、この感染症に真摯に向き合っていないと言わざるを得ません。

まとめ

本当、読み込めば読み込むほど答える側の中身が薄いなと感じます。

それでも良い質問を聞くと、こちらも考えるきっかけになったりして、読み込むのも面白いなと感じています。

恐らく9月12日には宣言解除とはならないと思いますし、解除するにしても記者会見は行われると思いますので、また機会があれば読み込んでいきたいと思います。

ということで。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

では。

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました